『アンフェア the end』は、2015年9月5日に公開された日本映画で、篠原涼子主演の人気ドラマシリーズ「アンフェア」の劇場版第3作目にして完結編です。監督・脚本は佐藤嗣麻子が担当し、国家を裏で操る権力組織との最終決戦を描いています。この作品は、前作『アンフェア the answer』の続編であり、シリーズ全体の謎が解き明かされる重要なエピソードです。
登場人物(キャスト)
- 雪平 夏見(ゆきひら なつみ) – 篠原涼子
- 警視庁刑事部捜査一課殺人犯捜査六係の警部補。バツイチ子持ちで、大酒飲みの敏腕刑事。
- 津島 直紀(つしま なおき) – 永山絢斗
- システムエンジニア。父の無念を晴らすために行動する。
- 小久保 祐二(こくぼ ゆうじ) – 阿部サダヲ
- 雪平の同僚刑事。
- 三上 薫(みかみ かおる) – 加藤雅也
- 雪平の元同僚で、二重スパイ。
- 雪平 美央(ゆきひら みお) – 向井地美音
- 雪平の娘。
- 武部 将臣(たけべ まさおみ) – AKIRA
- 最高検察庁監察指導部の特捜部長。
- 山路 哲夫(やまじ てつお) – 寺島進
- 雪平の上司。
- 一条 道孝(いちじょう みちたか) – 佐藤浩市
- 雪平の父の死に関与する人物。
ストーリー展開
序盤
物語は、雪平夏見が国家を裏で操る権力組織から機密データを手に入れるところから始まります。このデータは、彼女の亡き元夫・佐藤和夫の命と引き換えに得たもので、ただ公開するだけでは意味がないと考えた雪平は、最も有効な形で使用するための協力者を探していました。
その頃、東京地検特捜部の村上克明とその父親が殺害される事件が発生し、システムエンジニアの津島直紀が容疑者として拘束されます。津島は無実を主張し、雪平に助けを求めます。彼は「組織」の存在を掴み告発しようとしていたため、無実の罪に嵌められたと訴えます。
中盤
雪平は津島の逃走を手助けし、彼のアジトに向かいます。そこで津島は、10年前に父が無実の罪で収監され自殺した過去を共有します。津島は告発先として手配していたジャーナリストたちの元に向かいますが、彼らは組織の暗殺者によって次々と殺害されてしまいます。
さらに、津島と別れていた雪平は、実は組織の一員である武部とその手下たちに捕らえられます。武部の手下たちによって仲間たちが次々と危害を加えられ、娘の美央の命までもが危険にさらされます。雪平は津島の居場所を白状することを決意し、彼の殺害に向かいますが、津島の信念に触れ、共に逃げることを決めます。
終盤
津島は国外への亡命を決意し、雪平は彼を助けるために東京国際ビルのエルドニア共和国大使館を目指します。検問を潜り抜けビルに辿り着いたものの、武部たちに見つかり、津島が重傷を負います。しかし、一条や山路、小久保らの助けもあり、2人はついに大使館に到着します。
雪平は津島にペンダントを託し、その場を去ろうとしますが、津島に銃を向けられます。津島は武部と繋がっており、父の無念を晴らすために雪平の持つUSBメモリを奪おうとしていたのです。互いに銃を構える中、雪平は津島の正義を信じ、銃を降ろします。しかし、津島は引き金を引き、雪平は倒れます。その間際に一条が放った弾丸により、津島も致命傷を負い命を落とします。
結末
後を追った山路と小久保が大使館に到着した時、雪平の姿はなく、津島の胸のペンダントはケースが開き中身が持ち去られていました。全てが終わった後、外国語の飛び交うホテルの一室では、日本の裁判所・検察・警察に跨る大規模な不正スキャンダルの告発がテレビのトップニュースとして流れます。満身創痍ながらもシャワーを浴びていた雪平は、無言の笑みを天井へと向けるのでした。
感想
『アンフェア the end』は、シリーズの集大成として非常に見応えのある作品でした。雪平夏見の強さと脆さが交錯する中で、国家権力との戦いが描かれ、観る者を引き込むストーリー展開が印象的です。特に、最後のシーンでの雪平の微笑みは、彼女の長い戦いの終わりと新たな始まりを象徴しており、感慨深いものがあります。シリーズを通して描かれた「正義」と「裏切り」のテーマが、最後まで貫かれている点も評価できるポイントです。